移動平均

「移動平均」は、時間を経て変化するデータセットでのパターンを理解するための有用なツールで、特に金融やマーケティング、予測モデリングなどの分野でよく使用されます。移動平均は一定の期間にわたる平均値を計算し、その期間を「移動」させていくことで新しい平均値を得ます。これにより、短期的な変動やノイズを滑らかにし、長期的な傾向やパターンを視覚化するのに役立ちます。

Excelでは移動平均を計算するための組み込み機能はないため、手動で計算する必要があります。以下に具体的な手順を示します。

まず、例として次のようなデータセットがあるとします。列Aに日付が、列Bにその日の売上が記録されているとしましょう。

2023/01/01 210
2023/01/02 70
2023/01/03 90
2023/01/04 220
2023/01/05 70
2023/01/06 200
2023/01/07 50
2023/01/08 150
2023/01/09 90
2023/01/10 180
2023/01/11 60
2023/01/12 100
2023/01/13 230
2023/01/14 120
2023/01/15 40
2023/01/16 240
2023/01/17 140
2023/01/18 60
2023/01/19 80
2023/01/20 90
2023/01/21 90
2023/01/22 130
2023/01/23 90
2023/01/24 170
2023/01/25 220
2023/01/26 230
2023/01/27 120
2023/01/28 80
2023/01/29 200
2023/01/30 130

ここでは、3日間の移動平均を計算してみましょう。

  1. 移動平均を計算したい期間を決定します。この例では3日間の移動平均を計算します。
  2. 列Cに移動平均を入力します。C1とC2は空欄にします。なぜなら、3日間のデータがまだ集まっていないからです。
  3. C3セルに以下の式を入力します:=AVERAGE(B1:B3)
  4. この式は過去3日間(今日を含む)の売上の平均を計算します。次に、この式を下のセルにドラッグしてコピーします。これにより、各日について3日間の移動平均が計算されます。

この移動平均列は、短期的な売上の変動を滑らかにし、長期的な傾向を視覚化します。このように移動平均を用いると、例えば特定の日に売上が特別に高かった(または低かった)ときでも、その一時的な変動が全体の傾向を歪めることを防ぐことができます。

また、移動平均の期間(この例では3日間)は、データの性質や解析の目的に応じて変更することができます。期間を長くすると平均はより滑らかになり、短期的な変動をより多く除去します。しかし、それは長期的な傾向を反映するのに時間がかかるという欠点もあります。一方、期間を短くすると移動平均はデータの変動により敏感になり、短期的な傾向をより速く捉えることができます。

なお、移動平均はデータの傾向を視覚化するために「折れ線グラフ」に描くことがよくあります。「挿入」タブから「グラフ」を選択し、「折れ線グラフ」を選ぶことでグラフを作成できます。この時、原始データと移動平均を同時にグラフに描くことで、両者を直接比較することができます。

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